2013年12月16日

セラーナ1


吸血鬼の王族の娘セラーナ。
封印より目覚めて後、ドヴァキンと共に異世界にも亘る冒険を繰り広げ、ついには彼女の父親である吸血鬼の王ハルコンを、その野望とともに打ち倒した女性である。

彼女は、未だ気づいていなかった。

 
吸血鬼の妖しさを漂わせた美しく艶やかな唇、露わな胸元に覗く冷たく滑らかな肌と深い谷間、丸く豊満でありながら形良く締まった白い尻。
 
 
それらに対して常に欲情の視線が向けられてきたこと、そして溜めこまれてきた熱くどろどろした欲望を解き放つべく、行動を起こそうとしている者がいることを。
 

 

- ヴォルキハル城にて待つ。一人で訪れよ、汝の罪を贖わせん

 差出人不明のメッセージを受け取ったセラーナは、かつて住まった城を訪れていた。



「どこのどなたか知りませんが、随分とまわりくどい事がお好みですのね」
以前と変わらぬ威容を誇る外観を見上げて呟く。
指定されたこの場所に何らかの罠が待ち構えている可能性は高い。



しかし強大な魔力を持つ自信と、因縁の場所に呼び出そうという正体不明の招待者の悪趣味さへの怒りが、彼女の足をここまで運ばせ、そして彼女はかつて幾度となく通った城門を再びくぐり抜けて行った。




ヴォルキハル城の大広間。
血塗られた宴の跡が今も残るその場所で、正面の玉座に異様な仮面を被った男が座していた。しかも首から下は申し訳程度に股間を覆っているのみで、裸体に近い。

吸血鬼の王座に座るその不遜と不謹慎に、覚えずセラーナの眉が吊り上がる。


「呼びつけておいて出迎えの者もなしですの? ホストの礼儀をご存知ないのかしら?」

無言。仮面のためその視線の先は不明。ただ男は黙ったまま正面を向いている。


「さあ、あなたはいったい誰? 何が目的ですの? そんな仮面で顔を隠していないで、お答えなさい!」

指を突き付けて鋭く糾弾する。


 
無言。セラーナを見ているかも不明。ただ男は座ったまま身動きもしない。

「言いたくないのなら、すぐに言いたくなる様にしてあげましてよ!」
いつでも即座に攻撃に転じる構えを取りながら、玉座に座る男に近寄ってゆく。


 
男はただ正面を向いたまま、その間合いを測っていた。自分を中心とした数メートルの圏内。セラーナがそこへ足を踏み入れるのを。そしてその時、

 
男は立ち上がり、セラーナに向かい咆哮した。

- これは…シャウト…?

これまでにドヴァキンやドラゴン達が放つのを聞いたどんな叫びとも異なる響き。そして全身を細かく砕かれていく様な衝撃。

 
数瞬で衝撃が過ぎ去った。何とか態勢を立て直し身体を確かめる。怪我を負った部位…なし。体力や魔力の減退…なし。何も変わっていない。今のは攻撃ではなかったのか?

セラーナには知る由もなかったが、それは生命あるものを従わせる強力無比な力の言葉に、更に別の力の言葉が掛け合わされ、吸血鬼のごとき生命持たぬ存在さえ従わせる様、この世に初めて生み出されたシャウトであった。

 
逡巡は命取り。セラーナは構わず攻撃を開始しようとしたが、男が片手を挙げてそれを制した。
と、セラーナの足が止まる。

- どういうこと…ですの…?

意思に反して足が止まる。いや、攻撃の意思そのものが削がれていく様な感覚。
男は再び玉座に腰を落ち着けると、尻を突き出して見せろと命じた。

「あなた、頭がどうかしてらっしゃるんじゃなくて? 私がそのようなことを…」

 
鼻で笑って否定するセラーナだったが、またしても意思に反して…いや意思を無理やり捻じ曲げられるかのような感覚が走り、細くくびれた腰から豊かに張り出した尻を差し出していた。

「ど…どうぞご覧になって…」
丸く豊満でありながら形良く締まった白い尻。男はまずそれを存分に目で楽しんだ。


 

 
興に乗った男は次々とポーズ変更の注文を出す。セラーナは、こんなことは望んでいないという違和感を強く抱き続けながらも、反面、結局は自分の意思でそれに従い、扇情的な姿態を男の目に晒し続けていた。



そのままそこで動くな、と命じて男が背後に回る。男の手が無造作に彼女を乳房を掴んだ。
高貴の家に生まれた自尊心の高い女にとって、許しもしていないのに背後から手を回されて好き放題に胸を揉まれるなど、とても我慢できることではなかった。
だが、動けなかった。動くな、という命令に逆らう気持ちが全く起こらない。

- これはいったい、何ですの?


 
自問に答えは出ない。そうする間も大きく無骨な男の手が白く滑らかな肌に食い込み、遠慮会釈なくその柔らかさを堪能している。


 
やがて十分に昂ぶった男が自らの腰紐をほどき、黒く屹立する肉棒がぬっと現れた。それを目にしたとき、久しく忘れていた「恐れ」という感覚を思い出したセラーナの唇から、はっと小さく声がこぼれる。
吸血鬼と人間の関係は、個体ごとの力量の差はあれど突き詰めれば捕食するものとされるものであり、吸血鬼となって後、危険な状況に陥ったことは皆無ではないにしろ、捕食される恐れとは無縁でいた。



しかし今、人ならざる者の欲望のままに貪られ尽くした忌まわしい記憶がセラーナの脳裏に蘇っていた。強力な力を持った雄が、目についた雌をその意思に関わりなく従わせる時、その性的な関係は、捕食するものとされるものとに限りなく近しいものとなる。

舌で舐め、口に入れて慰めろ、と声に出して男が命令する。
それに従うセラーナ。行為自体もさることながら、もはや自らが眼前の見知らぬ男に快楽を提供するだけの存在に貶められたことに激しいショックを受けている。


 
吸血鬼の妖しさを漂わせた美しく艶やかな唇。そこに男の欲望そのものが突き付けられ、差し入れられてゆく。

「んっ、うむぅっ、んっ、うぅんっ…」
苦しげながらも悩ましい声。高貴なる口腔に自らの男根を押し入れ、好きな様に犯すことができるこの達成感。男はじっくりとセラーナの口内を味わいながら腰を使っていく。


 
そして更なる興奮の高みに昇るべく、男は次の指示を出す。

「胸で…奉仕せよと言うんですの?」


 
問い返すが、選択肢がないことは既にわかっている。セラーナは自ら男根を導き、乳首の先端に押し当てて上下に擦りあげる。
その瞬間。
痺れる様な快感が、乳首から全身に走った。

- そんな…どういうこと…ですの?
またしても自問。当然の様に答えは帰らない。


 
男のモノが近づき、そして乳肉を使って挟み込まれた。前後動する男の腰。後ろから乳房を揉まれた時と同様、自分の身体が良い様に使われているということを嫌でも意識させられた。

「あっ、熱っ…熱いですわ…あん、あっ…」
男の黒々とした太く熱い男根が、胸の谷間を、乳首のすぐ脇を擦りあげる感触に、セラーナはたまらず声をあげた。

 
やがて男が立ち上がり、セラーナを軽々と抱え上げると、玉座の前の食卓の上にその身を投げ出される。捕食する存在である男が、捕食される存在である女を味わう、晩餐の時間が始まろうとしていた。

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