ドヴァキンは欲情していた。
無論珍しいことではない。いかなる種族の女であれドヴァキンの視界に映ったならば、容姿、肉体、性格、境遇などから品定めされ、犯したいと思えば財力、魅力、知力、権力、暴力などあらゆる手管を使い、女の意思など関係なく実行するため、欲情を抑える必要がないのだ。
だが、世界を揺るがす事件の中で関わり大いに情欲をそそられながら、未だ侵すことができない女性がいた。
定命の人間から見れば悠久ともいえる歳月を越えてなお、可憐な風貌と匂い立つ様な肢体で男の獣欲をかき立てる、コールドハーパーの娘たるセラーナであった。
世界を危機に陥れたセラーナの父親ハルコンを打倒するという試練を背負い打ち勝つことで、ドヴァキンはセラーナから、母親であるヴァレリカをも凌ぐ信頼を寄せられている。が、未だにその肉体を思うがままに味わい、踏みにじり、欲望を吐き出して汚し尽くすことも、肉の快楽を供する性の奴隷とすることもできていない。
デイドラによる陵辱や数千年にわたる眠り、父親との命をかけた闘争など、想像を絶する経験を積み重ねたゆえか、セラーナは内に秘めた強さを持つ上、極めて上品な令嬢然とした態度を崩さない。ドヴァキンにとってはつけ込む隙を見いだせないまま日々を重ねる結果となっている。
そしてこの日。ヴォルキハル城の再建に向けた計画を話し合うために訪れたドヴァキンは、姿の見えないセラーナを探して、そして見てしまった。
棺桶の中で喉を反らした奇妙な姿勢で息もせずに眠る、無防備で淫靡なセラーナの肉体を。
常ならぬ激しい欲情にとらわれたドヴァキンは、彼らしくもなく性急にそれを“処理”するため、ズボンから固く反り返った肉棒を取り出した。
ドヴァキンは常にもない動きでセラーナの身体から飛び退き、声の発せられた部屋の入口を見た。
「あなたはこのヴォルキハル城で、私とセラーナを雌奴隷として従えて君臨するべきお方。“処理”が必要でしたら、どうか私にご奉仕させてください」
ヴァレリカはドヴァキンの正面に相対すると恭しく跪き、屹立した男根を柔らかな指で包み込み差し出した舌で熱心な愛撫をはじめる。
が、数瞬の間に溶岩のごとく粘つき灼熱した男の肉欲を察したヴァレリカは、蠱惑的な朱唇を開いて清浄な唾液に濡れそぼつ口腔を曝け出し、むっとする雄臭をまとわせた鋼の剛直が突き入れられるままに任せた。
いつになく荒々しい速度で打ちつけられる男の腰に合わせ、ヴァレリカは熱した欲棒を柔らかく受け止めながらも懸命に立ち向かい、自分の唇が、舌が、頬肉が、歯茎が、粘液を介して積極的に刺激を返す様に尽くした。
- ビクン……
美しき女吸血鬼の口腔を使い快楽を貪る逞しい肉の破城槌が、兆しを見せた。
- もうすぐ、ね……
ドヴァキンが口内でひときわ大きく膨れ上がるのを鋭敏に感じ取り、ヴァレリカは慎重にタイミングをはかっていた。
彼女は、口腔性交による快感を与えることで気を逸らし、相手に痛みどころか一切何も感じさせることなく目的を達することができるだけの経験と技術を持っていた。
だがドヴァキン相手にそれは通じない。意図を察知されれば、そしてそれを拒否されれば、彼女の目論見は容易く阻止されお終いになるだろう。
だから、ドヴァキンが欲望を爆発させる瞬間に合わせることで、更に確実性を高めることを考えたのだった。
本当のところ、彼女の望みが拒否されるかどうかは確かめていないのでわからない。だが、それを正面から問うよりも、こうして欲望に塗れさせて強引に実現させようと挑むことをこそ、彼女の主は好むという確信があった。
- ビクッ、ビュッ、ドクッ!
喉奥に力強く叩きつけられる熱い濁液を受け止めながら、ヴァレリカは闇の生命力を循環させる。妖艶な唇を男の陰茎が割り開き深々と挿し込まれるかたちで結合し、白濁液が女の体内に送り込まれているその場所から、男の方に向かって流れこもうとするものがあった。
言葉と呼吸の流れによりあらゆる事象を起こすスゥームに熟達したドヴァキンは、思うがままに射精する解放感と愉悦の渦中にありながらも、その「流れ」を確かに感じ取った。
だが、咄嗟に拒絶することができなかった。
なぜならそれは、相手を害する意図ではなく、より強くドヴァキンに支配され、拘束され、蹂躙されたいという、純粋な想いとして送り出されたものであったからだった。
- ビュクッ、ドクッ、ドクンッ……
放出を終えた虚脱感の後、それはやってきた。
最初は小刻みに、そして一打ちごとに全身が揺るがされる程の脈動が起こるや、全身の血液が沸き立つ様な高揚と衝動に突き動かされ、ドヴァキンは天を仰いだ。獣の様な咆哮をあげ、大きく開けた口から鋭く尖った牙が剥き出しとなる。
男の汚濁の体液を滴らせた唇が言葉を紡ぐ。
「どうかこの城を支配し、私とセラーナを闇の中で永遠に責め苛み、屈辱と快楽に狂わせてください」
更新待ってました、一押しのヴァレリカ様で嬉しいです!
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