溶鉱炉の前で汗を流す労働者、エンモンの前に、全身黒づくめの皮鎧の男が訪れた。
男はこの集落にいるはずの少女を探しているという。
住人が多くもないカースワステンで、少女といえばエンモンの娘しかいなかった。
そしてその娘はつい昨日、フォースウォーンの襲撃に遭い、さらわれてしまったのだ。
フォースウォーンの根城に乗り込んで娘を取り返すなど、単なる自殺行為でしかない。
苦悩の中、いつも通りの仕事を続けるしかないエンモンに、男が救出に向かうと申し出る。
- たったひとりで?
とエンモンは思うものの、たしかに男は常人とは思えぬ気配を漂わせている。
男は明日の早朝に出発するというため、エンモンはその夜は自宅に泊まっていく様に促した。
エンモンの妻、メナはそんな男に対して警戒心をあらわにして迎えた。
「よそ者ね。カースワステンに厄介事を持ち込まないで」
エンモンはそんな妻をとりなして男と共に食事をとると、1階の暖かい暖炉の傍に男のためにベッドロールを用意して夫婦は2階のベッドへと引き上げ、その夜は床に就いた。
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そして深夜、メナを揺り起こす者があった。
それはエンモンではなく、1階で寝ていたはずの見知らぬ男であった。
メナは、就寝時も落とさぬ戦化粧の施された鋭い目で男を睨みつけると、
「いったい何の用?」
と小声でささやいた。
男は彼らの娘のことで聞きたいことがあるという。メナは昼間の労働で疲れ果てて眠るエンモンに視線を走らせると、2階のバルコニーへ出る様に男をうながした。
バルコニーでメナを見下ろす男は、単刀直入に、フォースウォーンの手引きをしたのはお前だな、と問い詰めた。
エンモンは愛する娘がさらわれても何もできない自分に苦しんでいるが、お前にとってはそうではなかったということか、と。
「な、何を証拠に!」
動揺を押し隠すこともできないまま、声を上げたメナは、心の中では別な叫び声をあげていた。
- 違う、あの子を愛してないわけじゃない! ただ脅されて…仕方がなかったのよ…!
娘がさらわれた時、他のものに一切の危害を与えずに目的を果たして去っていったという、その手際が鮮やか過ぎる。鉱山主のアイネサックもどうやら、ここ数日のメナの行動に疑いを持っている。
証拠はない。
だが事実かどうかはどうでもいい。アイネサックも交えて、そんな話をエンモンにしてみたらどうなるだろうか…。男は意地悪く言葉を続けた。
「やめて、エンモンにそんなことを話すなんて…」
男はにやりと笑うと、メナの身体を乱暴に引き寄せた。
娘を取り返す報酬と、疑惑を黙っている口止め料とを合わせて、メナの身体で前払いで払ってもらおうという、男のふざけた要求にもはや抗う力を持てなかった。
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そして数刻。
バルコニーに立ったまま背後から責め続けられるメナが、ついに悲鳴をあげた。
「お願い、もう…終わらせて。私の…あそこが…気持ち良くないから終われないの? だったらお口で…しますから」
逆だった。奥の奥まで潜り込んだ男の先端部に熱い肉襞が絡みつくと共に、女の身体が切なげにくねるのに合わせてシャフトの根本に近い部分が時折キュッと締め付けてくる、まず名器と言ってよい気持ち良さだった。
加えて、蜜壷をしとどに濡れそぼらせていながら、その顔は夫に隠れて見知らぬ男に身を任せる悲哀の表情であえいでいる、そんな対比も耳と目に心地良い。
そんなことを直接的な言葉で嬲る様に告げられ、メナの顔はたまらない羞恥にさらに赤らんだ。
「だ、だったら…早く終わって…でないと私もう、気が遠くなりそうなのよ…」
男は、メナが疲れて気絶しようがいっこうに構わない、自分が満足するまで楽しんでから一番深いところで放出し、性欲を処理させてもらうつもりだと言う。
メナはその言葉にすくみあがった。
- だめ、中だけは絶対に…
このまま意識を失えば、男は好き勝手にメナの膣内に汚らわしい欲望を解き放つつもりだろう。
とにかくこのまま交合し続けているだけでは、一方的に責められて中に出されてしまう。何とかして一度、いまだ隆々としたこの肉茎を膣から抜かせなくては。
一計を案じ、おもねる言葉を吐くことで男を早く終わらせようと考える。
「無理に我慢しなくても…いいのよ…私もう、あなたにされて…何度もいかされて…生まれて初めてこんなに気持ちよくなってるの…だからあなたも…ね?」
我慢などしていない。牝が疲れ果てるまでよがり鳴かせて楽しんでから、自らの欲望を思うさま注ぎ込む、それが男というものだ。
うそぶいて表情も変えずに腰を使い続ける男に、メナは目の前が真っ暗になるほどの絶望感を味わっていた。
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寝苦しさに目覚めたエンモンがベッドの隣を見やると、妻の姿がなかった。
バルコニーから微かな物音。
- まさか、またフォースウォーンか!?
そっとバルコニーの戸を開け、外の様子をうかがうと、青い月明かりに照らされてリズミカルに律動する男女のシルエット。
押し殺してはいるが、間違いようのないメナの声が耳に届く。
「だって…エンモンならもうとっくに終わっているわ…」
- あ…の野郎! 何をやっていやがる!
最愛の妻が犯されているばかりか、男として屈辱的な言葉が、他ならぬその妻の唇から発せられたのだ。
エンモンの頭は瞬間的に沸騰し、その場に飛び込む前に何か手にする獲物はないか、室内を振り返った。その時、さらに聞こえてきたメナの声にエンモンの心身は凍った。
「駄目…お願い、私、エンモンに知られたら、生きていられないわ…」
- メナ…! なんてことだ!
メナは芯の強いリーチの女でありながら、心がどこかもろくて壊れやすい一面があった。操を奪われたことをエンモンに知られれば、自ら命を絶つことも十分考えられる。
エンモンはそう、思ってしまった。
メナにエンモンが見ていることを気付かれない様、行為を中断させる方法は何かないのか? 必死で考えるうちにも、メナの秘所に男の黒々としたものは出入りし続け、その摩擦と締め付けを悠々と享受していた。
- エンモンならもうとっくに終わっているわ
- エンモンならもうとっくに終わっているわ
- エンモンならもうとっくに終わっているわ
この場を終わらせる妙案も浮かばないまま、先ほどのメナのささやき声がぐるぐると頭の中で繰り返し響き渡る。
- そんなに長いこと、奴はメナを犯っているのか? 俺が寝ている間に…。それにメナは…本当は満足してなかったのか?
穏やかに行為をはじめ、穏やかに行為を終える、それがいつもの夫婦の営みだった。メナは十分満たされていると言っていた。それをエンモンは信じていた。
再び、メナが男にささやいた。
「お願いします…どうか…お口でさせてください」
エンモンは耳を疑った。
- どういうことだ!? 無理矢理されているんじゃないのか? 口で…だと!
特に鉱山労働での疲労が深かった夜など、なかなか勃ち上がらないエンモンを手で包みしごいて励ましてくれたことはあった。
だが時には、妻のその唇や熱い口内、柔らかな乳肉に思いのまま、己の陰茎を擦り付けて快楽に耽りたくなったが、メナにはいつもそれを気丈にはねのけられていた。
- 私を娼婦か奴隷女の様に扱うつもり!?
その妻が、口唇での性的奉仕を自ら懇願する様に申し出ていることに、エンモンは激しいショックを受けていた。
にもかかわらず、男は知らぬ気にメナの両腕を手綱をとる様にあしらいながら、背後からの律動を続けている。
痺れをきらしたかの様に、メナが再び声をあげる。
「お願い、気持ち良くなってもらえる様に、一生懸命…しますから」
これまでがっちりと捕らえていたメナの両腕を、男は突然離した。とたん、メナは支えを失ってうつ伏せに倒れこんだ。
よろよろと振り返ると、膝立ちのまま男の下半身に擦り寄ってゆく。
エンモンの目の前で、愛する妻の美しい横顔のシルエットが口を開き、そして黒々とした男のシルエットの腰からそそり立つ部分へと近づいてゆく。
ぴちゃ…ぴちゃ……
舌を伸ばして先端部を愛撫する行為から始まり、やがて妻の口腔に男の野太いものが呑み込まれてゆく。男の影は動かず仁王立ちとなり見下ろし、メナは懸命に前後に頭を動かしていた。
「どうですか、気持ち良くないですか? どうしたら…気持ちよくなってもらえるの…?」
一向に果てる気配を見せない男に、メナは再び問いを発した。
男は相変わらず無言のまま、ぐっとメナの顔をつかんで固定すると、その唇と頬に裏筋の部分を擦り付ける様に前後運動を開始した。
メナの愛らしい顔に直接陰茎を擦り付けて楽しむ男の姿に、まるで妻の存在そのものが犯され穢されていく様に感じたエンモンは血が滲むほど唇を噛みしめ、あまりに長いこと握りしめたその拳はほとんど血の気を失っていた。
「このまま顔に…かけてください」
- やめろメナ、そんな男の汚らしいものを…それこそ娼婦か奴隷じゃないか!
エンモンが発狂しそうな焦燥に駆られる中、遂に男の欲望が最高潮に達した。
「あっ、熱い…」
- 良かった、中にはされなかった…
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