2014年1月19日

灰色地区3 赤い薬と青い薬


祝祭の夜、夢とも現実ともつかない体験をしたダンマーの少女。
しかし翌朝、少女の枕元に残された贈り物の箱は、決して夢でも幻でもなかった。

- なんだろう…

箱を開けながらついつい胸を躍らせてしまう。箱の中にはかなり大振りな薬瓶がふたつと、メモが一枚。
薬瓶はそれぞれ赤い水薬と青い水薬で満たされている。メモにはこんな言葉が書かれている。

- あおいくすりでつよくなる。あかいくすりでもとどおり

そして少女は、意を決して青い薬に口をつけた……











- これって…? すごーい、わたし、大人になっちゃった! これでもう、人間の男なんかに負けないんだから!

少女は薬のもたらした効果に驚きながらも、それによって得た力と姿に、有頂天になるのだった。


∫  ∫  ∫  ∫  ∫  ∫  ∫  ∫  ∫  ∫
 
 
今日も深夜の灰色地区の街路では、「ネズミ狩り」と称して夜回りをする人間の男にダンマーの女が凌辱を受けようとしていた。
 







 

夜回りで出会った不運な女との「軽い運動」を心から楽しんだ男が立ち去ろうとした時、路上に立ちふさがる影があった。
 
「ダンマーを虐める人間に、お仕置きよ!」
 
男はきょとんとして声の主を眺めやった。
 
 
それはレザーの鎧に身を包んで細身の剣を持った…ダンマーの女だった。男は馬鹿にする様ににやにやと笑うと、
 
「誰かと思えば、灰色ネズミがもう一匹か。それも若くて活きのいい牝ネズミときた」
 
と言って拳を構えた。
 
「お仕置きってのは、人間がネズミどもにするもんだ。きつい一発をお見舞いして、ヒイヒイ言わせてやる」
 
 
「なんていやらしい人間なの!思い知らせてあげるわ」
 
そして…
 




 
勝負は一撃で決し、剣の腹で胴をしたたかに打たれた男が倒れ伏し苦悶に呻いていた。
 
 
「肋骨が何本か折れてるでしょうから、しばらくは家でおとなしくしてることね」
 
剣を納めた女は、凌辱され路上に放置されていたダンマーの女に歩み寄った。
 
 
「スヴァリスおばさん、大丈夫?」
 
声をかけて助け起こす。
 
 
 
「うっ、あぁ…ありがとう。あら、あなたは…見ない顔ね、いったいどなた?」
 
助け起こされた女は感謝の言葉を述べながらも、名前を呼ばれたことにやや怪訝な表情を浮かべる。鎧の女は、
 
「それはヒ・ミ・ツ!」
 
と言って微笑み、軽やかに立ち去っていった。

2 件のコメント:

  1. なんか好きです!変身ヒロイン物みたいで!(でも元ネタはメルモちゃん・・・ですよね?)

    それにしても、美人なダンマーだなぁ・・・エルフをここまでやれるのはすごい

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    1. ども、いらっしゃいませ。
      そう、メルモちゃんです^^ 最近、TVでたまたま見まして。
      赤と青、どっちが大きくなる薬だっけか…とWikipediaで調べたりしましたw

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