2013年10月20日

ラミ

ドヴァキンが現在居宅としているウィンドスタッド邸は、北方の街モーサルにおいて従士に任命され、与えられた土地に建築したものである。
今日ドヴァキンが目をつけたのは、モーサルで錬金商を営むラミという女だった。
小作りな顔にぷっくりと愛らしい唇で、街外れの製材工場で働くヨルゲンという夫と、ささやかながら幸せに暮らしていると語る。



そのヨルゲンとは、過去の事件で関わったことがあった。
かつて、忌まわしき力を持つデイドラの秘宝「メエルーンズのカミソリ」を、世に出ぬ様に分割して守る番人の一族があり、ヨルゲンはその末裔だったのだ。
しかしその記憶も廃れ妻と共に穏やかに生活することのみを望むヨルゲンは、ドヴァキンの威圧に易々と屈し、「メエルーンズのカミソリ」の一部を引き渡したのだった。



そして今、街外れの製材所近くの住まいに侵入したドヴァキンは、一人就寝していたヨルゲンに秘宝「メエルーンズのカミソリ」の鋭い切っ先を突きつけていた。


「お前はあの時の…!? それにそれはあの「カミソリ」! いったいどうやって…」

ヨルゲン自身は易々と奪われてしまったとはいえ、分割され何世代にもわたり密かに保管されてきたメエルーンズのカミソリが、簡単に揃うとは思ってもいなかった。


触れただけでも命を奪うことがあるというその秘宝の恐ろしさを知るだけに、ヨルゲンはなおのこと身動きを封じられ、ベッドの傍でなすがままに後ろ手に縛られていた。
そしてドヴァキンは決して今の場所から動かないことをヨルゲンに命じ、部屋の隅に身を潜めた。

- しかし一体何の目的で!?

既にカミソリを奪われたヨルゲンに、他にドヴァキンの興味を引くものがあるとは思えず、ただ命を奪われること、生活を乱されることの恐怖に脅え、困惑したまま俯いているしかなかった。


永遠とも思える静寂の時間の後、妻のラミが帰宅する。

「まぁ、ヨルゲン! いったい誰がこんなことを!?」

部屋の一隅からすっと黒い影が立ち上がりラミの背後に立つと、銀色に縁取られた漆黒の刃をゆらりと向ける。

 

ラミは気丈にも声をあげる。

「あなた…ドヴァキン!? ヨルゲンに何をしたの! すぐに出て行って!!」

「だめだラミ! そいつに逆らうな!! 殺されてしまうぞ!」

「ヨルゲン! どうして…」

必死の面持ちで叫び交わす夫婦を尻目に、ドヴァキンはラミの身体をまさぐり続け衣服を剥ぎ取る。


 
次にドヴァキン自らも黒のギルド鎧を外してゆく。固い筋肉で覆われながらも熱い体温を持った男の身体が背後にぴったりと触れるのを、ラミは意識せざるを得なかった。


ドヴァキンは混乱し立ちすくむラミを抱えると、力ずくでベッドに運ぶ。

…そしてヨルゲンの眼前、夫婦のベッドの上で、ラミへの行為が始まった。


まずは後背位での挿入。夫の見ている前で、夫以外の侵入を許してしまった羞恥と屈辱に、思わず目を逸らすラミ。固く大きな男根の圧迫感に歯を噛み締めて耐えている。


ヨルゲンは気の狂いそうな焦燥を味わいながらも、ドヴァキンの手元に光る「メエルーンズのカミソリ」に一切の動きを奪われ、ただ暴風の様に吹き荒れる狼藉が止むまで耐え忍ぶしかない気持ちにさせられていた。

ラミの羞恥の表情と秘所のきつい締め付けに満足したドヴァキンは、身体を横に倒すとラミの両脚を大きく広げさせた。


- 駄目…こんな恥ずかしい…はしたない格好をヨルゲンの目の前で…

脚を大きく開かれたことで、身体の中心を貫かれている感覚がより一層強まる。夫の眼前で、侵されてはならない秘所に、逞しい男根が見せ付ける様に出し入れされている。
だが自分も夫も、この男の得体の知れない威圧になすすべもないのだ。あきらめと共に、男の欲望が内奥を擦り上げるその刺激を強く意識し、噛み締めた唇が緩み吐息が漏れ始めていた。


その光景を見せ付けられながらヨルゲンは、ようやくドヴァキンの目的を理解した。

- 最初からラミを犯すつもりで…。 くそっ…。 だが今は耐えるしか…

現在の穏やかな生活を続けることのみを願い、ドヴァキンが自分と妻の命を奪う様な気まぐれを起こさぬ様、ただ耐え続けていた。
ベッドの上ではその妻の様子が変わり始めていた。



「あっ、あっ、あっ、あふぅ、あぁ…」

対面座位に変わり、ラミは下から突き上げられている。

- こんな…ずっと激しいまま突かれたら…変になっちゃう…

ヨルゲンの位置からはドヴァキンの肩越しに見えるラミの表情が、明らかに変化しつつあった。羞恥に耐えながら努めて夫の顔を視界に入れぬ様に横に逸らしていた顔が、今は時に陶酔する様に目を閉じ、またあるいはわななく様に喉を反らす。



ヨルゲンの穏やかな生活の一部は、乱され、壊され、奪い去られようとしている。
それでもなお、ここで下手に動けば自らの生命を危険にさらし、全てを失くすことがわかり過ぎるほどわかっていた。



ドヴァキンがラミの腰を固定していた腕を放すと向きを変えて横たわり、促す様にラミを見る。
ラミは素直に従い、腰をくねらせる様にして真上を指す男根に位置を合わせると背面座位の格好で受け入れた。
ドヴァキンは休まず、すぐに下からの挿送を再開する。

「あぁっ! あっ、あっ、あっ…」

- 駄目…大きいよ…それにどうしてこんな…激しいの…

人妻の隠された肉の悦びを抉り出す様に、固い男根は右に左に、そして最深部へと、自在に、尽きることなく衝撃を送り込んでくる。その一突きごとに身体の中心部を背筋に沿って快感が走るのをどうしようもなかった。
これまでにない強烈な男の欲望に晒されて、ラミの心は完全にドヴァキンに絆され組み伏せられていた。



そしてそれを象徴する体位に変わった。
両腕を後ろ手に、ドヴァキンの太い腕で固定され、女の部分を差し出したバックスタイル。
自由の利かぬ体勢で突かれながら、肉体的な快感、一切を力で思うがままに操る男の逞しさ、その男が自分を玩具の様に扱うことで快楽を得ていることへの陶酔、いっさいに塗れ、溺れ、意識が焼き切れそうな衝撃と共に、ラミは何度も絶頂させられていた。


ドヴァキンはラミの腕を手綱の様に操り、正面から夫に向かい合わせた。
ヨルゲンはすがる様に、必死でラミに目で訴えかけた。
ラミは快楽に緩み潤んだ瞳のままヨルゲンに視線を合わせると、その愛らしい唇がゆっくりと動いた。

- ご、め、ん、ね…

その時ヨルゲンは確信した。ラミはもはや夫を見ている様で見ていない。この男の所有物となってしまうのだと。
ヨルゲンははじめて全てを見届けることを諦め、がっくりと大きく肩を落として俯いた。


ドヴァキンは不意にラミの腕を放して結合を解いた。
ドサッとベッドの下に放り出されるラミ。身体を床に打ち付ける痛みを覚えながらもラミは必死で立ち上がろうとした。

- どうして!? だってまだ…

ドヴァキンはまだ射精していない。
狂わされ蕩けたラミの淫肉の纏わりつく様な快美感を十分に味わってもなお、硬度を保ち続けたままである。


身を起こし立ち上がったラミは必死で、どうすればドヴァキン自身の欲望を撃ち放ってもらうことができるのか、考えようとしていた。

ドヴァキンはラミに跪く様に命じた。そして逞しいままの男根をしごき上げている。ラミは理解した。

- 私に…マーキングするつもりね…ヨルゲンの傍で…。そうやって私を自分のものにするつもりなんだわ。


そしてラミはドヴァキンに命ぜられるままヨルゲンの横に跪くと、両の掌を差し出して言った。
「どうぞ…注いでください。私はあなたの…器です。いつでもお好きな時に、お好きなところにあなたの…精を注ぎ入れてください」


そして…白い濁液が、ラミの奉げた両の掌に、頬に、唇に、浴びせかけられた。
ラミはそれを恭しく受け取ると、掌に降り注いだそれを更に顔に押し当て塗り広げた。そして穏やかな微笑を浮かべる。


ドヴァキンがベッドから下り、濁液を滴らせたものをラミに示す。
ラミは唇を開くと舌を伸ばし、チロチロと動かしてドヴァキンの男根の汚濁を拭い清めた。


向きを変え、立ち去ろうとするドヴァキンと、それを名残を惜しむ様に見つめるラミ。

そしてドヴァキンが愛する妻の身体に、顔に精液を放ち、塗りつけて我が物と宣言し立ち去っていく間、ヨルゲンはただじっと俯き続けていた。

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