2016年3月6日

エリシフ6 ソリチュードの玉座


「あなた……トリグ……なの?」

程なく薄れて深夜の陰影に紛れてしまったが、エリシフは懐かしい夫の寂しげな顔を確かに垣間見たと思った。

- あの人が……トリグが私を見守ってくれている……

ウルフリックと対決した夫を誇りに思いはすれども、置き去りにされた寂寥感と、ただ独りでソリチュードの首長の責務を担う重圧に、エリシフは押し潰されそうになっていたのだ。
だがそんな自分を夫が見ていてくれた。その思いにエリシフは胸の中が熱いもので満たされてゆくのを感じていた。


一方。
エリシフが豊麗な胸を使って仮面の男に奉仕し、嬉々として汚濁の粘液を白い肌で受け止めるのを目の当たりにしたトリグは完全に打ちのめされ放心したまま、その姿は頼りなく揺らぎ輪郭すら曖昧となっていた。
もしもこの時トリグが強い心を持って、霊体であれ鮮明な姿を堂々とエリシフの前に現し、ソブンガルデにあってもエリシフを愛し続けていることを訴えたなら、その後の彼らの運命はおそらく変わっていたのだろう。


エリシフの背後に仮面の男が迫っていた。
肉槍は既に回復して猛々しい穂先がエリシフの尻に突きつけられていた。

「……!? ご主人様、そこは……!?」


むっちりと張り詰めた太腿の間でも白く盛り上がった双臀の谷間でもなく、かすかに潤みながらも未だぴたりと閉じあわされた花園の入り口の扉へと、赤黒い肉の淫獣の頭部が押し当てられていた。パンティーの細い布地をわずかにずらすだけで、その突入を阻むものはなくなってしまうだろう。
これまで肉体のありとあらゆる部分を提供して仮面の男の快楽に奉仕してきたエリシフだが、唯一、その場所だけは亡き夫以外の侵入を許していなかったのだ。


「いやっ!」

エリシフは思わず尻を打ち振り、秘めたる場所への男の侵入を拒んでいた。
仮面の男がその気になれば女の腰を押さえつけ力づくで思い通りにすることなど容易かったであろう。だが男はそうしなかった。


「お許し……ください……」

「ご主人様」に逆らってしまったことに気付いてエリシフは呆然と呟く。
男は仮面をエリシフの顔に向けたまま押し黙っている。
仮面の男に見限られ、雌として奉仕する悦びを二度とを与えられぬことをエリシフは怖れていた。
だが一方でトリグの面影がかつて彼と過ごした幸せな日々を思い出させ、その彼への最後の貞節を奪われることに躊躇いと抵抗が生まれていた。


その時、男はおもむろに重たげな仮面を脱ぎ、エリシフにはこれまで見せたことのないその素顔をさらした。

「あ、あなたは……ドヴァキン……?」

帝国軍に多大なる戦果をもたらしストームクロークを打倒した戦士、邪なる太古の竜を打倒して世界を救った英雄、エリシフへの目通りの時は恭しく膝を折り頭を垂れていたドヴァキンその人が、今、彼女の「ご主人様」として逞しい裸身を晒していたのだった。


- おのれ、貴様、ドヴァキン!!

傍観している幽霊でしかないトリグの心にも炎が燃え立った。
ウルフリックを打倒し、アルドゥインを殺し、トリグにはできなかったことを全て成し遂げたこの男、ソブンガルデを訪れた時に出会ったトリグを一顧だにせず立ち去り、あまつさえ生を保ったままソブンガルデを後にして現世へと帰還したこの男が、トリグが一筋の希望の光も見えぬまま荒野をさまよっている間に、奸計を弄して最愛の妻の肉体を弄んでいたのだ。
それは自らを灼いて破滅させるほどの憎悪と嫉妬の炎であった。
エリシフが束の間とはいえトリグの姿を目にし、更には仮面の男の正体と企みを知った今、エリシフがドヴァキンを糾弾しトリグとの思い出を抱いて生きることを決意するだろうことを、トリグは確信した。


一方でエリシフは困惑していた。
仮面の男の正体は知れず、それで良いと思っていた。仮面の男の正体も、エリシフの深夜の性奉仕も、誰にも何も知られずに雌奴隷としての解放と快楽に浸っているだけで十分に満たされていた。ブライリングから手ほどきを受け、性の支配者として振舞う男に雌奴隷として仕えることに、エリシフは満ち足りた安堵を見出していたのだ。
だが仮面は脱ぎ捨てられた。相手は比肩する者とていない偉業を成し遂げたドヴァキンとはいえ、ノルドではないインペリアルの男。卑劣にもブライリングを陥れてブルーパレスに侵入する手段を整えてエリシフに近付き弄んだのがそのドヴァキンであると、明らかにされてしまったのだ。
いったい彼女はどうれば良いというのだろう。ソリチュードの首長としての責任と、夫である上級王トリグへの貞節と、逞しい男性に依存できる安寧と、けしからぬ手段で女性を陥れたドヴァキンへの糾弾と、ノルドであることの矜持と、女としての本能的な欲求と……。何を取り、何を捨てなければならないのか。
これまでにこのような難しい決断を彼女に強いる者はいなかった。政務であればファルク・ファイアビアードが、魔術であればシビル・ステントールが、軍務であればブライリングが判断をくだし、ソリチュードを動かしてきたのだ。


「ドヴァキン、すぐにこの部屋を出て行って。そして玉座の間で待っていてください」

これまでにはなかった、エリシフの決然とした硬い声音が響いた。
ドヴァキンは何も言わずに静かに部屋を出て行く。
しばらく空を見つめたエリシフは、やがて立ち上がり呟いた。


「トリグ、あなた、お許しください……」

それはトリグには、これまでの過ちを償う言葉だと思え胸が一杯になった。避け得ぬ運命だったとはいえ、夫であるトリグが年若い身のエリシフを置いて先立ってしまった。そこにつけこんだ悪辣な男の手管で経験したことのない淫猥な肉欲の罠に引きずり込まれ、狂わされていたのだ。
だが今やエリシフはトリグの存在を胸に抱いている。いかにこれまで汚らわしい男の精液に塗れたとしても、最後の一線だけは守り続けてくれていることだけで、トリグは報われた気持ちとなり全てを許せると思った。
エリシフは顔の精液を拭き清めると、化粧台から装身具をひとつひとつ取り出し身に着け始めた。


ルビーのイヤリング。トリグの中で思い出が鮮明に蘇った。

- これは、エリシフの二十歳の誕生日に贈ったものだ。


ルビーのネックレス。

- これは、サトゥラリアの贈り物としてエリシフの枕元に置いたもの。


ルビーの指輪。

- これは、エリシフに求婚した時に贈ったもの。


ルビーのサークレット。

- これは……! これは、結婚の贈り物だ。エリシフに良く似合っていた……美しかった。

- そして初めての夜に、これを身に着けたエリシフを抱いたのだ。

自分は儚い霊体となってしまったが、これらの装身具が自分の想いとなってエリシフを包んでいる、トリグにはそのように思えたのだった。


そうして、未だ衣服は就寝時のランジェリーのみであったものの、政務を執る際の正装ともいえるルビーの装身具を全て身に着け終わると、エリシフはドヴァキンの待つ玉座の間へと向かっていった。


∫  ∫  ∫  ∫  ∫  ∫  ∫  ∫  ∫  ∫



玉座についたエリシフ。
ドヴァキンは玉座を頂く壇の下からエリシフに向かい合い、逞しい裸身を晒して立っていた。
トリグの霊も寝室から玉座の間へと移動してきており、傍からエリシフを見守っていた。


エリシフはソリチュードの首長の威厳を持って堂々と語り始めた。

「私はノルドの民の地であるスカイリムの、上級王の妻です。私はかつての上級王であるトリグを、私の夫を愛しています。それはこれからも決して変わらず、彼もまたソブンガルデから私を見守っていてくれています。そのことに一片の疑いもありません」


立ち上がり空を見やるエリシフ。トリグにはそれが、自分の姿を探してくれている様に見えた。

「また私自身も誇り高きノルドであり、ソリチュードの首長として民を導く責務を帯びています。さて、それではドヴァキン、インペリアルの勇者よ、ソリチュード首長エリシフより、あなたに申し渡します」

トリグはいよいよだと思った。エリシフがドヴァキンを退ける宣言をしようとしているのだ。
その宣言の後、持てる力全てを振り絞って姿を現しエリシフに愛を伝えるため、トリグは非常な努力を払って精神を集中させていた。


「今よりこのソリチュードの玉座の上で、ノルドを統べる上級王の妻でありソリチュードの首長である私の性器を、ドヴァキンよ、あなたの肉の槍で突き刺すのです。それを持って私、エリシフが、ドヴァキン様のお望みのままにご奉仕する真の雌奴隷であることの証といたしましょう」


- 何だと!? な……ん……だとぉぉぉ……

先ほど一度は拒んだ、これまでエリシフがトリグとの間でしか越えたことのない最後の一線を、ドヴァキンに許すという明確な宣言であった。それもこともあろうにソリチュードの玉座の上で、ノルドを導くべき首長の地位にある女がインペリアルの男に犯され、雌奴隷として服従するというのだ。
またも衝撃に打ちのめされ、霊体としての存在感をさらに希薄化させられてゆくトリグ。


微かな衣擦れの音とともにエリシフが身に着けたランジェリーを脱いでゆく。
深夜の薄闇の中で蝋燭の仄かな灯かりに照らされ白い裸身が妖しく浮かび上がる。
麗しのエリシフが日々政務を執り行うその玉座の前で、煌びやかなルビーのアクセサリーだけはそのままに艶かしい裸身を晒している姿は淫靡極まりなかった。

「ドヴァキン様、今の私は心弱く、ただ独りでは首長としての義務と職責を果たすことはできないでしょう。今日、私を見守るトリグの面影を見た時にはっきりとわかりました。私の弱さが、トリグを迷わせてソブンガルデで眠りにつくことを妨げているのだと」


エリシフは瞳を閉じてうっとりとドヴァキンに語りかける。

「だから私の全てをドヴァキン様、あなたに委ねます。世界の命運を左右する英雄であるあなたに、この身体を征服され、蹂躙され、支配されて雌奴隷として仕えることで、私の心はこれからも解放と安息に包まれることができるでしょう。ドヴァキン様、どうか私を支えて、強い心を与えてください」


言い終えてエリシフは身体の向きを変えると、上体を倒して長く形良い両脚を大きく拡げた体勢をとった。
高々と掲げられた尻は肉付き豊かでありながら、いささかも弛みなく両の太腿へとつながる優美なラインを描いている。その付け根の下部には膨らみきった蕾の如く色付いた秘所がはっきりと見えていた。この高貴で慎ましやかな花弁が今、ドヴァキンによって貫かれ侵されようとしているのだった。


ドヴァキンがゆっくりと足を踏み出した。
ブルーパレスの玉座の間に設えられた二段の雛壇を一段ずつ踏みしめて、無防備極まりない体勢で差し出されたエリシフの尻に近付いてゆく。


- やめろ、頼むからやめてくれ!

トリグは、ドヴァキンの男根が隆々と天を衝いているのを見て、思わず声にならぬ叫びをあげる。
先ほどまで裸身のエリシフと相対しながらもだらりと下に垂れ下がっていた太い毒蛇の様なそれが、女が尻を向けて服従の姿勢をとるやいなや、あっという間に膨張して反り返り凶暴な肉食獣の様相を見せたのだった。
ひとりの女を真実愛することなどなく、目に入った女全てを征服し屈服させて弄ぶことしか考えていない、淫獣の如き男だとトリグは思った。己の妻がその毒牙にかかる一部始終をこの目で見なければならぬ運命にあるとは、自分はどれほど九大神から憎まれているのか。


そしてとうとう、ドヴァキンはエリシフの背後に立つと、白く豊かな尻を両手で掴み、腰を進めてその場所へあてがった。


「ああ、入り口のところ……ドヴァキン様の熱いものが私のあそこにキスしているのがわかります。そこから先……ですわ……」

ドヴァキンの肉棒が己の身体に突き立てられようとするその瞬間をエリシフが感極まって口にし、トリグは呆然とそれを聞いている。

- いったいなぜ、こうなったのだ?

自分はいまだ妻を愛している。妻もまた自分を愛しているとはっきりと言い切ったのだ。


それなのに今、自分ではない男の肉棒を、妻は嬉々として迎え入れようとしている。もう間もなく、自分しか知らなかったエリシフの最も秘めたる部分に、別な男の肉棒が挿し込まれてしまうのだ。そうなれば男が思うままにその内部を味わい尽くすのを止めることはもはやできない。

ドヴァキンが、ぐっと腰を進めた。


- ズブッ!

「あんっ! んん……」

これほどまでに男に対して無防備に明け渡された美味なる標的に対して、狙いを外すことなどありえない。ドヴァキンの股間から伸びた太く逞しい肉筒が、エリシフの入り口の扉を左右に割り開き隘路へと没入していた。
互いの性器でもって完全なる結合を果たした悦びをうっとりと噛みしめるエリシフ。

「嬉しい、ドヴァキン様……ご主人様。あぁ、あなたを感じます、とても大きい……」


遂にエリシフとの交わりを果たした唯一の男であるという資格さえ剥奪されたトリグは、虚ろな目でそれを傍観するしかなかった。
だが突き立てたままドヴァキンは動かない。圧倒的な支配者に身体の中心を貫かれた陶酔に浸りながらも、男が更なる快楽のための運動を開始しないことを不思議に思ったエリシフは、やがてある事に気付いた。


「ドヴァキン様の……もう、奥まで突かれてると思ったのに……根本、まだ、全部入ってない……の?」

ドヴァキンが軽く腰を動かした。ビクッと背を反らすエリシフ。


「やっぱり、そこから先はまだ誰も……あうっ、きつい……です……」

未知の挿入感への恐れから思わず身体を逃がそうとするエリシフを、ドヴァキンは容赦なく捕らえて固定し、陰毛が女の尻に触れてジャリッとした感触を与えるほどに根本まで深々と己の一物を埋め込んだのだ。


「はぅ、あっ、ああっ……こんなことって……ドヴァキン様が……トリグのじゃ届かなかった一番奥まで来て……ああ、当たってるの……」

ドヴァキンが大きなストロークで抜き挿しを開始した。一突きごとに経験したことのない太さと長さをもった肉柱に内奥を圧し拡げられて、エリシフは思う存分に喘がされ、感じさせられ、狂わされた。
玉座の上で美しき女首長が尻を差し出し、逞しい男に背後から貫かれ鳴かされている様は、征服という言葉そのものを象徴するかの様な光景であった。


「ああ……わたし……ドヴァキン様に征服されてしまった……のね……」

激しさを増してゆく行為を凝視するトリグには、最愛の妻が初めて与えられた強烈な快感と陶酔に支配され、夫への思慕と尊敬をドヴァキンへの崇拝と依存に塗り替えられていくのがはっきりと見えていたのだった。









長い時間、ドヴァキンは疲れも見せずにバックから責め続け、エリシフは幾度も快感の絶頂に追いやられていた。
ドヴァキンの腰使いが更に速く荒々しくなってゆく。男の腰がエリシフの尻肉に打ち付けられるパンパンという音が、妻の肉体を使われているという生々しい実感をトリグの心にかき立てる。



「お許しになって、ドヴァキン様……お許しになって……」

忘我の淵を彷徨いながらうわ言の様に許しを請うエリシフ。
ドヴァキンが男の種汁を撃ち込む態勢に入ったことを察知しながら思考すらままならない。
ドヴァキンはエリシフを玉座に押さえつける様に尻を抱え込んで腰を振り、これまで上級王にしか許されていなかった膣壁の肉の締め付け具合を味わい、更には上級王さえ踏み込んだことのない最奥部の子宮口を幾度も突き上げ、己の欲望を解放するための快楽を思うがままに貪った。



- ……………………

トリグは悪夢の中の悪夢にあった。
見知らぬ男に篭絡され、最後の一線は守りながらもその肉体を弄ばれるうち、嬉々として男の性欲処理を行う様になった妻。
そしてもはや見知らぬ男ではなく、インペリアルのドヴァキンという男であると、誇り高きノルドではないのだと、はっきり相手をそう認識しながら貞節を自ら差し出し、夫以外には許したことのない一線を越え、夫ですら到達したことのない肉体の最奥部まで犯されて快楽にのたうつ妻。
エリシフはトリグを愛しているとはっきりと言い、亡き夫を心配させまいとする心情によってそれを行ったのだ。



「あぁっ、いいっ、いいですっ、ドヴァキン様! どうか、はっ、あぁっ、お放ちになって!!」

- ドビュッ!

深々と貫いた最奥部に、炸裂する勢いで初弾が撃ち込まれた。



- ドクッ、ドクッ、ドクン、ドクン……

挿し込まれた肉筒が脈動し、男の濁液が続けざまにエリシフの胎内に送り込まれてゆく。

「あっ、いくぅっ、はっ、はぁぁ……」

射精は長く続き、溢れるほどの量が注ぎ込まれた。

やがて忘我の時間が過ぎると、歓喜のうちにドヴァキンの欲望を受け止めたエリシフは、次なる奉仕にドヴァキンを誘おうとしていた。
ソリチュードの首長として、ブルーパレスの玉座の上でドヴァキンに犯されることで契約は為された。もはやドヴァキンに対して傅き奉仕することに何の遠慮もいらなかった。



「ドヴァキン様、どうぞおかけください。あなたの槍をお清めいたします」

ドヴァキンはゆっくりと進み出て、かつてスカイリムの上級王が就いた玉座に、大きく脚を広げて腰を下ろした。


エリシフは美しい両脚をピンと伸ばしたままドヴァキンの膝に手をついて上体を倒し、股間のものへ顔を埋めていった。
先ほど大量の精を放っていながらなおも口内を圧する大きさの男の肉塊に舌を這わせ、自らの愛液と男の欲望の残滓を舐め取りながら、心の中で愛する夫に呼びかけていた。


- 私……ドヴァキン様にご奉仕する喜びを胸に、貴方の想いを継いで、ソリチュードの首長としてスカイリムの民を守りますわ…だからもう心配しないで、トリグ……

エリシフの心はトリグへの愛に満ちていながら、その想いに従って選択し選んだ結果と行為は、トリグが全く望まないものとなったのだった。


消え行くトリグは、せめてエリシフとの間に子供を残していれば、あるいは違う結末になっていたのだろうか、と考えていた。


いや、とその考えに自ら反駁する。
己の子供がいたとしたら、今孕まされたであろうドヴァキンの子供との間で惨めな思いをさせてしまったかも知れない。だから、これで良かったのだ。
心優しき上級王はそう思いながら、慈悲深い狂気と忘却の淵に沈みこんでいったのだった。


∫  ∫  ∫  ∫  ∫  ∫  ∫  ∫  ∫  ∫



数ヵ月後。
ソリチュードの玉座の間では、膨らんできた腹を気遣いながらも政務を務める首長エリシフと、従士ブライリングの姿があった。
ブライリングの方は夫であるイルンスカー練兵官との間に出来た子供であろうが、未亡人であるエリシフの子供の父親はいったい誰であるか、当然ながらソリチュードの人々の興味の的となった。


だがちょうどエリシフが懐妊したと思われる時期から、ソリチュードを亡霊がうろつく様になっていた。その亡霊は決まってソリチュードの城門付近に姿を現すとふらつく様な足取りで街路を通り抜けてゆき、最後にはブルーパレスへと消えてゆくのだという。


亡霊の姿が亡くなった上級王トリグの様だと言った者がいる。ソリチュードの人々は上級王トリグがソブンガルデより現世を訪れ、エリシフが懐妊するという奇跡が起こったのだと、そう、噂したのだった。
そしてそれは身篭った子供の父親についての詮索を避けたい首長エリシフにとっては思いがけない隠れ蓑となってくれた。


だが真実は、精神に受けた衝撃の余りに記憶を保つこともままならなくなったトリグの亡霊が不明瞭な思念の赴くままにブルーパレスのエリシフの元へ引き寄せられてゆき、懐妊した妻の腹を見て、また時にはドヴァキンへの性奉仕を行う妻の姿を目にして、全てを思い出し苦悩のうちに再び忘却に沈んでゆく、そのようなことを幾度も、幾夜も、終わることなく繰り返しているのだった。

<使用させていただいたNPC美化MOD>
 ブライリング … Decent Women

6 件のコメント:

  1. 臨場感のある文章と、美麗なSSに思わず見入ってしまいました。
    しっかりエロくて、物語性もあって、とても面白かったです。

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    1. 早速のコメントありがとうございます!
      エリシフ編がいったん完結のため、今回は力入りました。ひたすら妄想ですが、文章の方も読んでいただけて嬉しいです。妄想なりに破綻が目立たない様には気を使っているつもりなので……。

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  2. 今晩は。

    おぉう、トリグに特に思い入れは無いのですが少し可哀そうになりますが背徳のエリシフには興奮しますね。

    なんか吹っ切れた欲望のエロドヴァキンには好感を覚えます。

    ウチのはそこまで割り切れない…(笑)

    また精液テクスチャ使わせていただきましたので、どうぞご覧になってください。

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    1. こんばんは、返信が遅くなりすみません。
      スカイリムをそこそこ遊び倒して、この後、ドヴァキンはどうなるのか考えたら、もうこれしかなかったという……。
      ボッシーさんのブログもいつも見てます。更新がハイペースで、つかみのよもやま話が面白くっていいですね。自分は日記的な面白い文章書くのが苦手で…。
      ではまた。

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  3. チンコたった。
    毎度毎度よくエロいシチュエーション思いつきますねw

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    1. コメントありがとうございます。レス遅くごめんなさい。
      今はオルフィナの話をコツコツ作っていますので、またのぞきに来てください。

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