2016年3月13日
2016年3月6日
エリシフ6 ソリチュードの玉座
「あなた……トリグ……なの?」
程なく薄れて深夜の陰影に紛れてしまったが、エリシフは懐かしい夫の寂しげな顔を確かに垣間見たと思った。
- あの人が……トリグが私を見守ってくれている……
ウルフリックと対決した夫を誇りに思いはすれども、置き去りにされた寂寥感と、ただ独りでソリチュードの首長の責務を担う重圧に、エリシフは押し潰されそうになっていたのだ。
だがそんな自分を夫が見ていてくれた。その思いにエリシフは胸の中が熱いもので満たされてゆくのを感じていた。
一方。
エリシフが豊麗な胸を使って仮面の男に奉仕し、嬉々として汚濁の粘液を白い肌で受け止めるのを目の当たりにしたトリグは完全に打ちのめされ放心したまま、その姿は頼りなく揺らぎ輪郭すら曖昧となっていた。
もしもこの時トリグが強い心を持って、霊体であれ鮮明な姿を堂々とエリシフの前に現し、ソブンガルデにあってもエリシフを愛し続けていることを訴えたなら、その後の彼らの運命はおそらく変わっていたのだろう。
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